信頼関係のために 自己の内側に目を向ける


信頼関係を高めるためには、自分の内側にあるものを、チェックし、様々な工夫をほどこしていくことが大事なのではないでしょうか。


なぜなら自分の内側は、言葉にせずとも相手に、無意識的に伝わることも多いからです。


そんなことを感じた三つの体験を話していきます。



一つ目の話
かつて若い時に、クラブ活動において、あまりにも中途半端に活動を行い、それもその状態が長く続く場合、生徒に「そんないい加減な状態でするならやめなさい」ということがありました。


そんな時、こっちの肚が決まっていない時には、
「先生そう言っても本気じゃないだろ」
と見透かされたような対応をとられがちでした。


そういう経験を繰り返すうちに、いつしか、そのような言葉を投げる場合には、必ず肚を決めてから行うようになりました。そう、嘘じゃない、本気でそうすると。


すると、それが伝わるのか、
 以降、生徒の対応はいつも真摯なものになっていきました。


 自分でもとても不思議な体験だった気がします。


*今現在、「クラブをやめなさい」などと言っていた自分の指導については強く反省しています。




二つ目の話
これも若い時の話です。ある知り合いのお母さんの息子さんが、ハンドボール部に入ろうと思ったけど、やっぱりやめて帰宅部になりそうという話が雑談の中ででてきました。私は、「ああ、そうなんですか」と普通に対応していたつもりだったのですか・・・・


お母さんが、キッとなって「先生は、つまらないと思っているんでしょ!」と少し厳しく私に言ったのです。


「おーー」と思いました。


大当たりだったのである。


私は心の中で「男の子なんだから、運動部入ってがんばるべきだろ」という価値観を心に持っていました。


それが、お母さんには伝わったのではないでしょうか。


今ではそんな価値観を持っていた自分を恥じていますが、当時は本当にそれが正しいと思っていた浅はかな私でした。


人と接する場合、
自分の中の「それはおかしいんじゃないですか?」という感覚が出てきたら・・・


それをおもしろい自分自身の感覚として認識し・・・


そして、それを一旦脇に置いて、


白紙の状態で相手に接することが大事なのではないかと思います。


自分の価値観にどっぷり浸かったままだと、相手をその価値観で測ってしまい、
その判定の結果は、この例のように口に出さずとも相手に伝わってしまうことがあるからです。



三つ目の話
コーチングをしている時、次にどういう展開にしようかと自分の頭で考えた時、相手は自分自身に対する関心が薄れたことを感じとることがあります。


だから今は、コーチングの時は相手に集中することにしています。


そして、相手に対する反応は頭では考えずに、
直観で自分の中からぱっと出てきたもので対処するように心がけています。


そのために、普段からいろいろな手を頭に入れ、イメージし、肉体化できるように努めています。


繰り返しになりますがコーチング中は、頭をできるだけ使わないようにして、とにかく相手に集中することにしています。


また、思ってはいけないのですが・・・


相手の過去の出来事の情報、そして相手の言動・思考を受け取った時、
「それはダメじゃろ!」と心が反応してしまうことがあります。


裁いてしまっているのです。


ただ、その感覚はが微妙に相手に伝わってしまうことがあります。


そうなると、コーチングの前提である信頼関係にひびが入ります。


どんなにひどいマイナスな情報が入ってきたとしても・・・・・


それでも、
「目の前にいる人は、最高の可能性をもった素晴らしい人である!!!」
と心から思うようにならなければいけないと努力しています。


まだ道半ばではありますが・・・。



自分の内側も、相手に伝わります。


そう考え、自分の内側も意識して、良いものにしていかないといけないのではないでしょうか。そんなことをよく考えるようになりました。

リーダーシップについて 手本になる

今日は、「手本となる」ということについて話をしたいと思います。 
 
さて今日は「手本となる」ということについてです。だいぶ前に話した「誠実さ」と重なるお話です。


ずっと私の心にとどまって離れることがない一つの原則があります。 それは、
 
 
「それは言葉でどんなに教えてもだめ 
どんなにたくさんの本を読んでもらってもだめ 
メンバーにどうあるかを教えることはできない 
リーダーが身をもってしめすことによってのみそれは可能となる」


というものです。 
 
私が十分にできているわけではありませんが、いつも自分の胸の底には、この言葉が横たわっていて、自分自身に「おまえは手本となりえているのか?」と問いかけます。 
 
 ごみがそこに落ちている。落ちているごみがあれば拾わなければならない。と教えるより、実際にリーダーが拾っている姿をみせるほうがよい。よく本にこの話はのっていますが本当にそう思います。
 
リーダーであるみなさんが、メンバーに時間を守ってほしければ、あなたは時間前にいつも来ておかなければなりません。メンバーに朝掃除がんばってほしい。呼びかけをします。普段あなたがやっていないと説得力が弱まります。


またクラブ活動と行事の両立。みんなにがんばってほしければ、あなたはみんなの手本となる行動をしなければなりません。あなたがクラブに入っていて試合も近い。両立が時間的に難しい時があります。そんな時、理由はきちんと説明して、放課後クラスの活動に参加できない分、朝早くから来てクラスのための活動をする。こういう行動をとればあなたの誠実さはメンバーに伝わりますし、また同じ状況にある人の良き手本となります。


「キャプテン」というマンガありました。主人公のキャプテンの谷口君は野球が上手でもないし、気が強いほうでもありません。マンガの中で、彼は徹底的の努力して野球がうまくもなり、また人としても大きく成長して強烈なリーダーシップを発揮していくようになります。


こんなシーンがありました。


徐々に強くなっていく野球部。練習がどんどん厳しくなっていきます。このチームは生徒だけでやっているので、ノックなどもキャプテンがします。谷口君はとても厳しいノックなどをし、またひどい言葉を投げたりしていきます。谷口君が鬼監督のようになって部員をしごくことに全力を費やします。


だんだん部員に不満がたまっていきます。そして部員たちの不満が爆発して、夜谷口君の家へそろって文句を言いにいきます。家に谷口君はいません。神社の境内にいる、ということだったのでそこにいきました。


谷口君はお父さんと二人で練習をしていました。壮絶な練習でした。近距離で全身があざだらけになりながら、谷口君がボールに向かっていきます。ずっとそれを繰り返していきます。


部員たちは陰からじっとみています。昼間谷口君は全力で部員が上手になるように力を尽くし、夜は自分が昼できなかった分、みんなをしごいた以上に自分自身をしごいているのです。


部員たちは、何もいわずに帰っていきます。


谷口君はメンバーに不満を抱かせてチームの雰囲気を悪くしたという意味では、リーダーとして失敗しているのですが、彼のみんなの手本となる姿を見たメンバーは驚きと感動と谷口君に対する尊敬の念をもつことになったでしょう。その後、彼はメンバーの信頼をしっかり得て、リーダーシップをしっかり発揮していくことができるようになります。
 
みなさんは、クラスのみんなから選ばれたリーダーです。そして、いつもみんなに見られています。そんなあなたをいつも見つめているみなさんと信頼関係を築きたい。ということであれば、できるできないは別として、


「自分は、みんなの手本となりえているか?」という言葉を、胸におかれておいてもいいのではないでしょうか。