ストレスにどう対応するか

みなさん、こんにちは。鑑 樹一(かがみ みきひと)です。ここでは、コーチングや教育のことについて考えたことを書いています。
予想外に多くの方に読んでいただき、大変うれしく思っています。心より感謝申し上げます。
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ストレスの多い社会です。


下は文部科学省がだしているものです。

1 教育職員の精神疾患による病気休職者数(平成29年度)

○教育職員(※)の精神疾患による病気休職者数は、5,077人(全教育職員数の0.55%)で、平成19年度以降、5,000人前後で推移しており、平成28年度(4,891人)から増加。

教員の生きている世界もストレスが満載です。


長時間労働。生徒・保護者・同僚・管理職との人間関係。めまぐるしい仕事量。


他の仕事同様、多忙化も激しくなっています。


精神的に追い詰められていくことも少なくないでしょう。


ある例を話します。


人に嫌われた経験も少なく、また激しく叱られた経験も乏しかったAさん。いつも和やか


に生き、すくすくと育ってきました。


そんなAさんが、ある中学校に就職しました。6月くらいから、生徒との関係が悪化してい
きました。言うことを聞かない生徒。反抗ばかりする生徒。成立しない授業。授業中教室を出入りする生徒も・・・


保護者から電話がかかってきます。A先生を罵倒する言葉。これが連日浴びせられま


す。


自分のことで手一杯で、若いA先生のサポートをしない同僚。


とうとう校長先生のところまで、保護者からの文句の電話が。


校長先生に呼ばれ、激しい叱責。これが繰り返されます。
家に帰っても携帯電話にも、保護者から電話がかかってきます。


優しく温和に育ってきたAさん。彼女にとっては、耐え難い経験。とうとうAさんは、休職
することになってしまいました。


これは、非常に厳しい事例ですが、重い軽いは別にせよ、こういったことが教員の世界
でも、よく起こります。



他の業種においても同様のことでしょう。


激しく人から文句を言われる。多くの人間から無視される。また嫌われる・・・・


脳が奥からやられていってしまいます。そのダメージは24時間ずっと続きます。パフォー


マンスが著しく下がります。


本当にストレスが、人をむしばんでいっています。




こんな時どうするのか?


コーチとしてできることは・・・・・・・?


ストレスを軽減するセッションを行います。よくやるのは、NLPのデソシエイトです。


デソシエイトとは、物事を自分とは分離して客観的に認識する事です。 問題を客観視できなくなり、問題を悪化させてしまうことがあります。 問題解決を容易にする事が可能になります。(「NLP英語辞典:Associate アソシエイト& Dissociate デソシエイト」から 日本NLP 協会)


よくこんなふうに行います。


Nさん「毎日のように上司の部屋に呼ばれて、叱られるんです」
私  「それはつらいですね」
Nさん「そうなんです。本当、その上司の姿が目に入るだけで、もうドキドキして」


私 「なるほど。じゃあNさん、ちょっと目をつぶってください。そして、上司が目に
   入った時のことを想像してください」
Nさん「はい」
私 「Nさん、どんな感じですか」
Nさん「ドキドキして、息がしにくいです」


私  「体はどんなふうに感じていますか」
Nさん「何か、そう硬くなったような気がします」


私  「その時Nさんはどんな表情してますか」
Nさん「やはり硬直した感じ、目に力がありません」
私  「Nさん、嫌な体験をしてもらって、どうもすいませんでした」


私  「じゃあNさん、次はちょっと違うことやりますね」
Nさん 「あ、はい」


私  「それじゃNさん、どっか知ってる展望台、ありますか」
Nさん 「東京スカイツリーですね」


私  「おー高いところですね。でも、確か望遠鏡がなかったような・・・そうだ、じゃ
    あ、望遠鏡を用意しましょう」


私  「それじゃ、Nさん、また目をつぶってください」
Nさん 「あ、はい」
私  「それじゃ、私と一緒に東京スカイツリーまで瞬間移動しましょう」
   「Nさん、東京スカイツリーに来ました。高いですねー」
   「あ、それからここは展望台ですから、るんるん気分でね。肩の力も抜いてくださ
    いね」
   「それじゃ、この望遠鏡をのぞいてください」


Nさん「あ、はい」
私  「それじゃ、望遠鏡でNさんとその上司が話している場面を見てください」
Nさん「想像するんですね。はい、わかりました」


私  「見えましたか」
Nさん 「ええ」


私  「どんな感じですか?」
Nさん 「またちょっとドキドキが・・・」


私  「じゃあ、望遠鏡調整して、さらに小さく小さく見えるようにしてください」
Nさん 「はい」


私  「どんなふうに見えます?」
N  「とても小さくみえます」


私  「ドキドキはどうですか」
N さん「なんか、なくなりました」


私  「そうですか。よかったですね。それじゃ、Nさんとその上司の様子を客観的に私
    に丁寧に説明していただけますか」


こういう具合にして、Nさんに自分を客観視してもらいます。


恐れにはまりこんでいた自分を離れて、それを客観的にみることによって、恐れの感情を軽減することが狙いです。


私 「Nさん、それは望遠鏡見るのをやめて、東京スカイツリーからここに戻りましょ
   う」
Nさん「はい」


私  「Nさん、今どんな感じですか」
Nさん 「なんか、ちょっと楽になった気がします」


というようなセッションを行います。ただ、この効果は人によってもかなり違います。


あまり効かないという人もいます。


このストレス退治は、なかなかに難しいものだと思います。




☆諸富祥彦さんの本は、教師が抱える様々な問題にどう対処するか、とても参考になります。


教師のための問題対応フローチャート―不登校・授業・問題行動・虐待・保護者対応のチェックポイント
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図書文化社


教室に正義を!―いじめと闘う教師の13か条
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