先生の仕事 場をつくる とても大切なこと

「場をつくる」「空気をつくる」と私はよくいいますが、これは教育にとって最も大事なことの一つであると思います。集団を預かって教育活動をしていく場合、これができないと何も生きていきません。まさに、これが全ての鍵をにぎる生命線といっていいのではないでしょうか。

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みなさん、こんにちは。鑑 樹一(かがみ みきひと)です。ここでは、コーチングや教育のことについて考えたことを書いています。
予想外に多くの方に読んでいただき、大変うれしく思っています。心より感謝申し上げます。
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先生の仕事 場をつくる


場をつくる


この仕事をするにあたって大切なことの一つに「場をつくる」ということがあると思う。「学級崩壊」という言葉がよく知られているが、これはまさに「場をつくる」が全くできていていない状態だといえる。つまり、真逆の状態である。


学級崩壊が起こると何がおこるか。教室はまさに戦国時代のようになる。モラルが崩壊し、それまで真面目だった生徒さえ、授業は聞かない、ごみはひろわない、いじめは見て見ぬふりする、学習意欲はなくなる、教師に文句をいう、行動がいい加減になる、また、精神的にも安定せずストレスを常に感じ、イライラすることも多くなる。強い生徒の中には悪徳戦国大名のごとく、傍若無人に振る舞う行動もみられるようになる。


教員はというと・・・・・完全に精神がまいってしまう。公務員の中で、休職率が一番高いのは、学校教員である。混乱した場へ、毎日行き、信頼関係のかけらもない中で、自分の指導は全く通らず、子どもからの暴言、教室の混乱、保護者からのクレーム、同僚・管理職からのプレッシャー・・・・・まさに地獄である。心が壊れていくのもよくわかる。


自分自身、信頼関係のない空間に行っていた時・・・・毎日吐きそうな気持になった。車の中で怒鳴り散らしていたこともある。・・・・相当参っていたのだろう。


責任


だから、場をつくることが大切なのである。安心な気持ちで学校に通える。秩序がしっかりある。モラルも保たれている。友達、先生との関係が良好。自分自身を自然にだすことができる。自分の意見を表明人間関係の部分にエネルギーを大量消費しなくてよい。授業がしっかり成立する。こういった場をつくることが何より大切なのである。



最初が肝心


向山洋一さんの「黄金の三日間」がよく知られている。 ネットで孫引きしたものをここに貼りつけておく。



「教育問題の解決方法を考えるhttp://hiro12.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-4b1c.html

学級が崩れていくのは、教師の責任である。技量のなさ、勉強不足、甘い考えが原因だ。だから教師は年度初め最初は、ここが勝負だという決意で臨む必要がある。最初の三日間の学級のしくみ作りが失敗したら、一年間はとりもどせないものなのである。

 何をするのか。それは「学級」という「集団」をつくるのである。「集団の組み立て」「生活のルール」をきちんとさせるのである。ルールがきちんとしていれば、とりあえず学級は運営されていく。しかし、ここがあいまいだと、問題が生じ、手のつけようがなくなる。私の体験をもとに、ポイントをつぎに紹介する。

(1)一日目

 始業式があり担任が発表される。列の前に立って明確に指示をする。はみ出る子どもがいる。それを決して見のがさない。子どもはアドバルーンをあげているのだ。こんなことは大丈夫かな。甘いかなと。

 続いて入学式があるので、子どもたちとの時間は10分程度。短いあいさつをする。大切なポイントだけを「楽しいクラスにしていこうね」というようなことを二分くらいの短い話ですること。半数の子どもの名前を覚えたい。私は、若いときは一日で全員を覚えた。

(2)二日目

 担任としての挨拶と話をする。「これから、みんなとの生活がはじまりますから、いくつか言っておきたいことがあります。いすをきちんと入れてください」(指示を聞かない子の名前を言って軽く注意する)

 担任の自己紹介をし、質問を受ける。あいまいな質問には、ことばを限定することを教える。

 つぎに、人間の三つ生きがい(才能を伸ばす喜び・人のためになることをする・夢を実現する)を話す。そして、「人間は間違えながらなおしていくことができる。教室は間違える場所ですから、たくさん間違えなさい」「人間だけが弱い者をいたわることができる。ですから、弱い者いじめをすることには厳しい。絶対許さない」という話をする。

 今後の学級生活の約束(ひいきはしない・授業時間はのばさない)について話す。

 教室の席を決める。近視の子に配慮して背の順でいいだろう。どのような方法でも文句は出る。教師が決めていい。そのかわり、必ず「いつまでの席か」を伝えておく。連休あけまでが妥当だろう。靴箱は背の高い順に最上段から入れさせていく。持ち物には、ぜひ「小物袋」と「自由帳」の二つは入れておきたい。小物袋は机のフックにかけさせておくと、授業がどれだけ楽になるか計り知れない。

 「係り」「当番」「日直」など、生活上のルールを決める。私は一人一役を原則としてきた。前のクラスのルールを子どもたちから聞いて、それを活用するのがいいし、この方が楽だ。子どもの意見を聞きながら行うが、教師は前もって考えておく。このようにして学級のルールをまとめあげる。質問したその子にだけ答えたら、それだけで学級は崩れていく、全員に言わなければならない。この点を決して軽く考えないことだ。そうじ手順を確認しておくことも大切だ。

(3)三日目

 勉強のことが中心となる。私はまず漢字・計算のテストをする。前の学年の総復習である。子どもの力を理解するのは大事なことだ。次に楽しい授業をやってみせる。子どもが熱中するような授業である。

 この時から「学習のしかた」のポイントについて教えていく。漢字学習では「指書き、うつし書き、なぞり書き」の学び方を教える。漢字の習得率は格段にアップする。算数では「正答のときは、問題番号にチェック印を入れること」「線は短い定規で引くこと」などを教える。理科・社会のノートは、見開き二ページで「一つの作品」のように書かせるとよい。

(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)



まさに、これである。最初に方針、ルールを明確にする。そして、ルールがられない場合にはきちんと正す。ここが、どんな場であるのか、生徒に明確に、心に身体に入れてもらうのが大切だ。


どんな社会でも、最初が緩いルールで、途中から厳しいルールになっていくと不満が大きくなる。それは当り前のことである。


したがって、最初に方針・ルールを明確にし、場をしっかりつくり、秩序と安心のある空間をつくっていく。それが大切なのである。今まで勝手きままにしてきた生徒にとっては、最初は窮屈な部分もあるが、人間はすぐに慣れる。


何か当り前か。これが当り前。そうなれば何の問題もなくなる。そして、その秩序だった空間が、いかに自分たちにとっていいものか、ということが徐々にわかっていく。


これができているクラスはどうなっていくか。


一番は安心して学校に通える。安心してものが言える。自分の安心が確保できるから、勉強とかクラブ活動とかにエネルギーが注ぎやすい。安心して物が言えるから、いろんな提案がしやすい。問題が発生しても、安心して意見がいえたりするから解決しやすい。安心感があるので積極性が発揮されやすい。安心感があるから、生徒間のコミュニケーションが活発で、協力がしやすい。こうなれば・・・・・クラスの成績は上がりやすい。団結力が高まり、帰属意識も高まる。クラス愛もつよくなる。そして、行事が活発、かつ楽しい。まさにいいことずくめである。


この出発点は最初である。最初の緊張感のある時に、方針・ルールを明確にし、場をしっかりつくり、秩序と安心のある空間をつくっていく。このことに全力を注ぐべきなのである。


長くなったので今日はここまでにしておきます。続きはまた明日にします。


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