先生の仕事 場をつくる3

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みなさん、こんにちは。鑑 樹一(かがみ みきひと)です。ここでは、コーチングや教育のことについて考えたことを書いています。
予想外に多くの方に読んでいただき、大変うれしく思っています。心より感謝申し上げます。
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先生の仕事 場をつくる3



継続する


「場をつくる」ことができたら。崩すことなく継続していきます。





場に吹き込んでいくもの


挨拶


人間がほしいものの大きなものの一つが安全です。だから、とにかく挨拶することが大事です。人間は、群れをなして生き残ってきました。人間は集団の中で生きるという本能を持っています。したがってその集団から認められる、承認されるということが何より大切です。



その承認されるということを端的に感じてもらうことができるのが挨拶です。挨拶されると、程度の差はあれ「認められている」「敵ではない」ということ相手に感じてもらうことができます。だから、まず教師が行うのです。生徒の方から、行うのが筋だと考える人もいるかもしれませんが、私は教員からするほうがいいと思っています。挨拶が当り前になっていきますと、先に言おうと思っていても、生徒の方が早く気付いて、先を越されててしまうことはありますが。



この挨拶も、教師がそういう姿勢を見せていけば、生徒は無意識のうちに挨拶するという習慣を身に着けていきます。





信頼


そのためには、教員がまず一番に生徒を信頼する姿勢をみせることが大切です。常に、生徒を信頼する気持をつよくもち日常をおくる必要があります。


「ありがとう」「うれしい」「ごめんなさい」これらを先生が、しっかり生徒の前で示すことが大切です。生徒は、教師の言動より、教師の姿勢から無意識のうちに様々なことを学びます。


「ありがとう」「うれしい」「ごめんなさい」が教室に広がっていけば、「場」は温かいものになっていきます。そして、信頼関係が構築されていきます。



自己開示



教師が、自己開示することも必要でしょう。自己開示すると、教員の人間味が生徒に伝わります。それは、生徒に親近感を与え、いい関係を築くのにとても有効です。ただし、この自己開示も、その前提として「場を崩さない」という条件が守れる範囲で行っていくことが大事だと私は感じます。



生徒が生徒を認めること
これは、とても有効です。「士は己を知る者の為に死す」という言葉があります。男子たる者は、自分の真価をよくわかってくれる人のためには命をなげうっても尽くすものだとの意味です。なるほどなあと思ったりします。生徒も、自分のことをとてもよく思っている人に囲まれたなら、それはもういきいきする度合いが全然違います。


対等平等の友達関係で、自己開示を深め、互いに信頼、互いにいいところをすごく認め合っている友人となら、自分自身をありのまま認めてもらえるので、安心して、何でも相談でき、何でも言え、感情も出せるでしょう。こういう仲間が広がるって素晴らしいと思いませんか。


ここまで深くないにしても、程度は浅くなっても、こういう人たちがいる集団はとてもここといいものになっていくのではないでしょうか。


よく「いいところさがし」などの取り組みがありますが、うまくやっていけばとても効果を発揮すると考えています。



「場」の帰属意識


「おれは」から「おれたちは」をめざすことが大事だと思います。


「私はやってる。あなたはやっていない。だからこのクラスはだめ」「あいつらがだめにしている。俺はちゃんとやってるのに」「本当あのひとたちはつまらない。頑張っているのは私だけ」


という状態から、


「私たちなら、絶対できる」「俺はたいしたことないかもしれないけど、みんなで団結すれば必ずできる」「このクラスが大好き、絶対私たちなら優勝できる」


みたいな感じになるといいですね。こうなった時には、集団の信頼感は?
言うまでもありませんよね。その信頼関係はとてもたかいものになっています。


だから、先生は生徒の帰属意識を高め、どう「おれは」から「おれたちは」「おれたちなら」の集団に高めていくことを意識しておくことが大事だと思います。




順番が、ずいぶん下になりましたが、もうこれは言うまでもないですね。人間が基本的に欲しているのが愛です
。愛情のある視線、愛情のある微笑み、愛情のある言葉、とても大切です。愛をいっぱいもらっている生徒さんは、心がとても安定しやすいと、当たり前のことながら、経験上もそう思います。御家庭の深さとは次元が違いますが、クラスやクラブなどの集団も愛がある集団だととても居心地のいい集団になります。


自分の所属する集団を考えてみればよくわかると思います。先生なら、自分の所属する教員集団。会社勤めの人なら、その会社。部。課。趣味で行っているサークル集団。・・・・愛がいっぱいか、無機的な感じか。どっちでしょう。やっぱり、愛がひろがる集団の方がいいのではないでしょうか。



こういったものが、「場」に吹き込まれていくと、最初は少し硬い感じだった集団が、その空間の間に温かいものが広がって、とてもいい「場」になっていくと私は考えています。



ああ、それから最後に規律


しかし、「場を崩さない」ことは、生徒の成長にとっての前提になるので、前も書きましたが、「崩れ」の芽は出ればいつもすぐに摘み取ることを意識しておく必要があります。そうしておけば、温かくも秩序ある集団が維持できるのではないかと考えます。


重ねて書きますが、この「摘み取る」も、もちろん愛情をもって優しく行っていくことが大切です。


以上、「場をつくる」ということについて、3回にわたって書かせていただきました。自分の思っていることが正しいなんていうつもりはありません。あくまで私個人の考えです。もし少しでも参考にしていただければありがたいです。